あらすじ
城茂と共にネオショッカーのアジトに潜入した博士は、父のかつての友人・長沼博士と出会う。
博士の言葉によれば、かつてネオショッカーに殺されたはずの洋の両親がまだ生きているという。
そして、洋と茂は真相を突き止めるべく、アリコマンド養成所へ潜入する。
両親は本当に死んだのか――洋の過去を揺るがす衝撃の真実!?
「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」も、今回からとうとう最終三部作に突入。
スカイライダーとネオショッカーの戦いにも、ついに終止符が打たれようとしている。
その導入編となる今回は、第1話において、3年前に既に事故で死亡していると語られていた洋の両親の生存がほのめかされるという、劇的かつドラマチックな展開が描かれる。
洋の父は人工心臓学の権威であり、それゆえ改造人間を製造する技術を求めていたネオショッカーに狙われ、協力を拒んだことから「改造人間FX777」に改造され自我を奪われたというのだ。
そして、洋の母親の行方は杳として知れないのだという。
死んだはずの両親が生きていた上に、ネオショッカーが父を自分と同じく改造人間に改造したという情報がもたらされたことで、洋は大いに動揺する。
そして、「改造人間FX777」が隊長蛇塚と名乗り、アリコマンド養成所の所長を務めている情報を得た洋は、怒りのまま、敵の本拠地であるアリコマンド養成所に向かうのだった。
日本に帰国していた城茂もまた、洋をフォローするべくアリコマンド養成所に向かう。
前回の帰国時といい、城茂は何故かアリコマンド養成所に縁がある。
果たして、洋の両親は本当に生きているのだろうか?
そして、隊長蛇塚は本当に洋の父=改造人間FX777なのか?
全ての謎を解く鍵は、アリコマンド養成所にある。
一方、ネオショッカー側にも異変が起こっていた。
ネオショッカー大首領が、幾度となくスカイライダーに敗北した魔神提督に、ついに最後通牒を発したのである。追い込まれた魔神提督は、スカイライダー抹殺のため最終作戦に挑む。
それは、洋が知った両親の生存の情報と、何か関係があるのだろうか?
そして洋の行く手を監視するように、巨大な龍がその顔を覗かせる。
この龍こそ、ネオショッカーの大首領なのだろうか?
全ての宿命が収束し、スカイライダーとネオショッカーの最終作戦の幕が開く。
ネオショッカーのアジトでは、暗黒星雲の帝王である、ネオショッカー大首領の怒りを鎮めるため、魔神提督がネオショッカー大首領に許しを請うていた。
大首領の怒りを鎮めるため、かつて捧げようとしていた1000の耳を再度集めさせていた魔神提督だが、その供物をもってしても、大首領の怒りは鎮まることがない。
そして、巨大な腕が伸びてきたかと思うと、魔神提督の体を掴み上げた。
「魔神提督!この俺が何故怒っているのか、お前にはまだわかっておらんと見えるな!」
「わかっております!ですから、何卒お許しを!」
「俺が何故怒っているのか、そこでよおく見ているが良い!」
魔神提督を地面に叩きつけた大首領は、アリコマンドたちを掴み上げ、握り潰してしまう。
すると、アリコマンドが握り潰された粒子が光を放ち、大首領の幻術が展開した。
かつて、スカイライダーに次々と倒された怪人たちの幻影が、魔神提督を包む。
それは、多くの改造人間を仮面ライダーたちに滅ぼされてきた大首領の怒りが見せる幻だった。
「今度仮面ライダー打倒に失敗すれば、命がないと思え!」
ついに大首領から最後通牒を発せられた魔神提督は、自ら仮面ライダーと戦うことを余儀なくされる。魔神提督は自らに屈辱を与えた洋に、心が引き裂かれる苦しみを与えることを誓うのだった。
その頃洋は、3年前に他界した両親の墓参りに向かっていた。
友人の出版パーティーに招待された洋の父・洋太郎と、母・寿子はパーティー会場に向かう途中、車に仕掛けられた時限爆弾によって命を落としたのである。
その爆弾を仕掛けたのは、ネオショッカーだった。
第1話の段階では、(ここでは語られていない妹も含め)両親は事故で他界したと語られていたが、ネオショッカーと戦う中で、ネオショッカーが両親の命を奪った情報を掴んだものと思われる。
その頃、仮面ライダーストロンガー=城茂は、密かに日本に帰国していた。
そして、ネオショッカーのアリコマンド前線基地を見つけていたのである。
最初にスカイライダーを助けに帰国しただけでなく、シリーズ中盤にも登場したストロンガーがこの最終三部作でも登場するのは嬉しい展開。初めて出来た後輩への面倒見の良さが覗える。
すると、洋の父の親友であり、やはり3年前に何者かに拉致されて消息不明になっていた長沼博士がアジトの中に連行されていた。洋は城茂の連絡を受け、急ぎアジトの場所へ向かう。
洋は、長沼博士に会い、何故父がネオショッカーに狙われていたのか、真実を知りたかった。
洋と合流した城茂は、アリコマンドだけに効果のある、アリコマンド用催涙弾を用いてアジトに乗り込もうとした。催涙弾を使うと聞いて城茂を止めようとする洋が、なんだか常識人だ。
催涙弾によってアリコマンドが外へ誘き出された隙に、洋は長沼博士の元へ向かう。
しかし、アリコマンドは基地に貯蔵されていた爆薬の導火線に火を付ける。
爆発により基地が壊滅する中、間一髪、洋は長沼博士を助け出し、脱出に成功した。
長沼博士は、ネオショッカーによって嫌々ながらに改造人間製造に協力させられていた。
そして、洋に、洋の両親が生きているという情報を伝える。
かつての爆発事故で、両親の遺骨まで手にしていた洋にはにわかには信じられない話だが、3年前、長沼博士はネオショッカーのアジトで確かに洋の両親と対面していた。
城茂は、恐らくネオショッカーが身代わりを立ててまで洋の両親を拉致したと推測する。
では何故、ネオショッカーはそこまでして洋の両親を拉致したのか。
洋の父・洋太郎は、人工心臓学の権威だった。それゆえ、長沼博士と同様に、ネオショッカーの改造人間プロジェクトチームの一員になるように強制されていたのである。
父が改造人間製造に協力するはずがないと考える洋に、長沼博士は小児科に偽装されたアリコマンド整備用ドックの情報を伝え、そこにいるドクターXに会うように伝える。
ドクターXといっても、私失敗しないので…の人ではない。
アリコマンドや怪人を修理するドクターXなら、怪人製造に関わる人間の情報を知っているはず。
しかし、洋にはどうしても、父が改造人間製造に関わっていたと信じられない。
いや、父が悪に与してネオショッカーの仲間になっていたことなど、信じたくないのだ。
城茂は冷静に、洋に両親を信じるように諭す。
ドクターXのアリコマンド整備用ドックに突入した洋と城茂。
廃棄処分されたアリコマンドが最期を迎える場所であるアリコマンドドックに勤めるドクターXに、洋は自分の両親が生きているかどうかを詰問し、ドクターXは口を割る。
洋の両親を脅迫したのはドクターXだった。しかし、ネオショッカーへの協力を拒んだ洋の父は、車を爆破され、一度は死亡した。しかし、心臓と脳だけは無事だったために、ドクターXによって改造人間として蘇生させられたのだという。そして母の方は行方が知れないと。
父もまた、改造人間になっていたという事実に、洋の心は打ちのめされる。
洋の父は今や、「改造人間FX777」というコードネームで、第三支部に送られていた。
人間の尊厳を踏み躙ったドクターXに洋の怒りは爆発した。
そして、洋は怒りのままに第三支部に向かい、スカイライダーに変身。
ライダーブレイクでネオショッカーのアジトの壁を粉砕し、アジトに突入する。
序盤の見せ場だったものの、撮影の準備に時間がかかる(講談社official file Magazineより)ことから自然消滅していたライダーブレイクが、ここに来て復活したのは嬉しい。
アジトにいた白アリコマンドを尋問したスカイライダーは、改造人間FX777が半年前、アリコマンド養成所の所長に栄転したという情報を掴み、アリコマンド養成所に向かう。
以前、城茂とともにアリコマンド養成所を壊滅させた洋だが、アリコマンド養成所は1つではなかったようだ。その道中、がんがんじいに止められたスカイライダー。
がんがんじいは敵の本拠地に飛び込むことを心配するが、スカイライダーは強行突入する。
スカイライダーのことを友として、無謀な行動を止めようとするがんがんじいの想いが良い。
スカイライダーとがんがんじいの間には、確かに友情が生まれていたのだ。
アリコマンド養成所では、大勢のアリコマンドが訓練をしていた。
スカイライダーはそこにスカイターボで突入し、アリコマンドたちを蹴散らしていく。
そこに姿を現したアリコマンド養成所の所長とは、頭部に蛇の装飾を持つ兜を付けた怪人だった。
「改造人間FX777か!…父さんですか?」
「もしそうなら…なんとする?見事打ち倒して見せるか、スカイライダー!出来まい!出来ぬはずだ…お前の父親は…FX777だものな!」
改造人間FX777=隊長蛇塚はスカイライダーに剣を向けるが、あっさりと手を捻られ、胸の認識票を確認される。認識票には、「FX797」の文字が。こいつは改造人間FX777ではないのだ。
各地をたらい回しにされるのは、RPGのおつかいイベントみたいではある。
本物のFX777の行方をスカイライダーに尋問されたFX797は、FX777は今や関東支部司令官になっていることを白状する。そして関東司令部の場所は、魔神提督しか知らないことも。
FX797は、鍬となっている右手を長く伸ばし、動揺するスカイライダーを背後から攻撃する。
だがそこに、ストロンガーが駆けつけ、電ショックで右腕を破壊した。
2人の仮面ライダーが揃ったことで、養成所のアリコマンドたちは戦意を喪失。
FX797を置いて、とっとと逃げ出してしまう。
どうも、FX797は指導力や統率力には欠けていたらしい。
結局、2人のライダーのダブルキックを受け、FX797は爆死するのだった。
スカイライダーはFX777の行方を追うために魔神提督のアジトへ向かい、ストロンガーはアリコマンド養成所を壊滅させてから後を追うことになった。
だが、ストロンガーは養成所内部の蟻地獄に嵌り、地中へ飲み込まれてしまう。
一方、魔神提督のアジトへ向かうスカイライダーを、湖の中から巨大な龍が見ていた。
そこに響く声は、ネオショッカー大首領のもの。
暗黒星雲の帝王であるネオショッカー大首領とは、巨大な龍そのものなのか。
アリコマンドたちの奇襲を受けたスカイライダーの前に、魔神提督が現れる。
スカイライダーは改造人間FX777の行方を尋ねるが、魔神提督は答えようとしない。
ついに、スカイライダーに自ら襲いかかる魔神提督。ロケット弾攻撃がスカイライダーを襲う。
さらに、左腕を取り外し、スカイライダーに投げつけた魔神提督。
魔神提督の全身に隠された武器が次々にスカイライダーを襲い、改造人間すら溶かす毒ガスが撒き散らされる中、スカイライダーはあくまで両親の行方を尋ねようとするのだった。
改造人間FX777は本当に洋の父親なのか?
真相を求めて魔神提督と戦うスカイライダー。その背後に忍び寄る影の正体とは、何か。
第1話の台詞と多少の矛盾はあるものの、洋の両親の生存がほのめかされるという劇的かつドラマチックな展開が描かれた最終三部作の始まりとなるエピソード。
行く先々で「改造人間FX777」の情報がもたらされ、洋が少しずつ両親を襲ったネオショッカーの陰謀の真相に近づいていく展開は、手に汗握るものがある。
怒りに身を任せ敵の本拠地でもあるアリコマンド養成所に突っ込んでいこうとするスカイライダーを止めようとするがんがんじいの、友情の描写を積み重ねてきた描写も良い。
それにしても、自分が改造人間FX777だったらどうする!とまで言っておきながら、認識票は元のままFX797のものをつけていたFX797=隊長蛇塚は何がしたかったのだろうか…。
教え子であるアリコマンドからも形勢不利と見なされるやあっさりと見捨てられていたりして、あそこまで小物であるとかえって印象に残る、不思議なキャラクターだ。
こうして、両親を襲ったネオショッカーの陰謀の真実に近づいていくスカイライダー。
しかし、魔神提督は洋の父の行方を、何故か黙して語ろうとはしない。
果たして、洋が求める両親の行方の真実は何処にあるのか。
そしてスカイライダーを不気味に見つめる謎の龍の正体は、ネオショッカー大首領なのか…。